鎮座地:栃木県栃木市岩舟町小野寺469
社号標に鳥居
本殿
境内社
西宮神社
祠
祠
栃木市の静かな田園地帯に、時の流れを静かに見守るかのように村檜神社(むらひじんじゃ)は鎮座している。創建は大化2年、西暦646年。飛鳥時代のことであり、神仏習合の端緒すら定まらぬ頃に、この地にはすでに祈りの場が築かれていた。
熊野大神と日枝大神を勧請し、創祀されたと伝えられる村檜神社は、延喜式神名帳に記された由緒正しき社で、「下野国十一座」の一つにも数えられる。つまり、国家によって公的に認められた神社であり、下野の地において格別の神威をもって崇敬されてきたことを物語っている。
とりわけ目を奪われるのが、本殿の風格だ。天文22年(1553年)に再建された建物は、桃山期に先立つ室町末期の社殿建築の粋を今に伝える。軒を深く張り出した屋根、緻密な彫刻、そして素朴ながら品格ある佇まい——それらが時代を越え、国の重要文化財として現代に語りかけてくる。
社殿の前に立てば、ただ「見る」のではなく、「感じる」ことを強く促される場所である。日々の喧騒を離れ、1300年を超える祈りの気配に身をゆだねる時間。村檜神社は、観光地とは異なる、信仰の原点に触れる特別な体験をもたらしてくれる。