藤原秀郷公
鎮座地:栃木県佐野市富士町1409
鳥居
神橋
参道
石段
神門
神門
拝殿
拝殿
本殿
唐澤山からの眺望
和合稲荷神社
栃木県佐野市、標高およそ242メートルの唐沢山の頂に鎮座する唐澤山神社を訪ねました。ここは平安中期、藤原秀郷が築いた唐沢山城の本丸跡にあたり、「関東七名城」に数えられた難攻不落の山城です。秀郷は平将門の乱を平定した武勇の士であり、その名は『将門記』や『太平記』にも記されています。
明治16年(1883年)、廃城となった山頂に秀郷の御霊を祀るため、旧佐野氏の家臣らによって神社が創建されました。明治23年には別格官幣社に列し、社殿や神楽殿、中門、神橋などが整えられました。重厚な構えの社殿は、日光東照宮の修繕に関わった職人の技も生かされ、随所に緻密な意匠が施されています。
参道を進むと、苔むした石垣や曲輪跡が往時の面影を伝えます。風の音と、山中を抜ける清らかな空気が、戦乱の世を生きた人々の息遣いを静かに思わせます。展望台からは関東平野が一望でき、晴れた日には遠く秩父連山まで見渡せました。季節ごとに異なる魅力もあり、初夏は山全体が新緑に包まれ、梅雨明けには雲海が立ちこめる朝もあります。冬は空気が澄み、遥か富士山の姿も望めます。
唐澤山神社は、勝運や開運を祈る参拝者が絶えない場所です。歴史的価値と自然の美が共存する山頂で、私もまた深く一礼し、静かな力を胸に刻みました。